デンタルインプラントの魅力

インプラントの未来

人類はまだやり遂げていない

とはいえ、やはり人類はその叡知をもってインプラント体の固定に成功したとはちょっと言い難いのも事実だと思います。ですから、当時誰もが構想していたデンタルインプラントの方向性とは若干違う形に今のインプラントはなっているのです。

やはり本当に作りたいものがどういうものか、それは子供でもわかる単純なことですが天然歯の構造をそのままトレースしたもののはずです。オッセオインテグレーションによるインプラントは「歯根があり歯冠がある」という大まかな構造を同じくするだけで、細部においてはまだまだ差異があります。

とりわけ異なるのは「中と外」です。天然歯の中は空洞になっていて、歯髄で満たされ血管と神経が通っています。天然歯の歯根の外は歯根膜で覆われ、歯根膜を介して歯槽骨と結合しています。決してダイレクトに歯槽骨とつながっているわけではありません。

「中」つまり歯髄については、素人目にも困難です。しばしば取り沙汰されるのが、歯根膜がインプラント体に存在しないことをどう捕らえるかです。大いに問題視する声もあれば、大過ないと主張する声もあります。

しかし、そもそも人類が作りたかったものにより近いのは歯根膜も備えたインプラントのはずだと思います。その試みもなされました。それが失敗に失敗を重ねていたときにふって沸いたのがオッセオインテグレーションによる結合です。結局、その都合の良い現象のほうに目的をすり寄せる形で、現在の優れたインプラント治療技術が完成したのです。

それは文句無しに素晴らしい福音を人類にもたらした。そのことは否定のしようがありません。

しかし、人類はまだ作りたかったものを作り得ていない。そのことも忘れてはならないと思います。